自費出版を手掛ける文芸社の出版説明会

文芸社は、自費出版を手掛ける多くの出版社のなかでも、もっとも有名な出版社です。
毎月出版される書籍は100冊以上で、その多くが自費出版だといいますから、圧倒的ですね。
一般的な認識で言えば、自費出版イコール文芸社といってもよい規模でしょう。

自費出版から生まれたベストセラーもたくさんあるようです。
一番有名なのは『B型自分の説明書』でしょう。
書店員のおすすめPOPから評判を呼んで、シリーズ累計で500万部以上の売上を上げたといいますから、大したものです。
ほかにも映画化された『リアル鬼ごっこ』や、ミステリーファンに評判の『心霊探偵八雲シリーズ』、テレビドラマ化された『みぽりんのえくぼ』などなど。どれも自費出版から始まって、本が売れて評判となり、映画やドラマの企画に採用されたそうです。

かつては、絵本の自費出版で有名な新風舎(しんぷうしゃ)という出版社がありました。
一時は文芸社以上の出版点数を誇り、業界一位だったと記憶しています。
いわば文芸社のライバル企業ですね。
しかしこの新風舎、著者達とのトラブルも抱えており、評判は芳しくありませんでした。
出版費用が異常に高額である、日本全国に配本されると言いながら実際には数店舗にしか本が置かれないなど多数のトラブルです。
悪徳商法、詐欺などといわれて社会問題化し、2008年には、あっさり倒産してしまいました。
既に出版費用を支払い済みなのに、本が出版されないという被害者が生まれましたが、これを救済したのが文芸社です。
自費出版の市場を守りたいという、トップランナーのプライドを感じるエピソードですね。
※自費出版の歴史は後述します。

公式ホームページを見ても、アマチュア文化を応援したいという文芸社の志をひしひしと感じられます。
常に各種コンテストを開催しており、持ち込みも受け付けています。
原稿用紙のデータをダウンロードして印刷できるコーナーもあります。

出版説明会の窓口については、文芸社のホームページをみると、3種類あります。
・出版相談会
・執筆と出版の説明会
・書き方講座


上から順に、出版したい気持ちが固まっているひと向け、というところでしょうか。
どの説明会も完全予約制です。
わたしは真ん中の、執筆と出版の説明会に参加しました。
場所は東京都新宿区の文芸社本社です。
全国の地方都市でも、同様の説明会を開催しているようです。
北は北海道、南は九州まで日本全国で、3種の説明会を毎週開催しているのはすごいですね。

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自費出版の歴史
1990年代後半、自費出版界に大きな動きがありました。90年代後半から自費出版の刊行点数が急増したのです。当時は大手といわれていた3社だけで刊行点数は年間2000点を超え、ピーク時の03年から05年には5000点に達しました。4000社あった出版社の全刊行点数が8万点ですから、いかに一部の自費出版社に集中していたかがわかります。このような状況では、良質な本を作り、流通させることは難しい状況だったでしょう。一冊一冊それぞれに著者の人生が集約されています。3社というのは文芸社、碧天舎、新風舎です。

現在、文芸社以外は存在しておらず、碧天舎は2006年、新風舎は2008年に倒産したところで、自費出版のブームは一旦の終息を迎えました。
これからは真に表現を追求したいと思っている人たちの時代です。よく『私にも本が出せますか?』という方がいらっしゃいますが、何かを書きたい、
表現したいという強い意志があれば絶対に自費出版は可能です。そのために編集者がいます。自費出版の著者の多くは初めて本を出す方です。
流通させる以上、冷徹なまでに客観的な視点が必要で、それが作品を強固にします。本を作るというのは著者と編集者の共同作業です。
著者は人生のすべてを作品に懸けます。だからその体験はその後の人生を豊かにしていきます。