物語を破綻させない

書き始めの時にあることなのですが、物語を破綻させるようなキャラクターを作ってしまいがちになります。
前項「結末を目指す」で読者が求めているものに関して触れましたが、「完結した文章」ということ以外に「破綻していない物語」というものがあります。
執筆中に「こうした方が面白いかも」と最初のストーリーから派生して文章を変えていくのはよくあることですが、それで結末が矛盾していては意味がありません。
自分の理想や自身を投影したキャラクターがでてくることはよくあります。それは語り手だったり、多くはキーキャラクターになっています。
そのキャラクターの活躍を書きたい気持ちは誰にだってありますが、そのせいで物語が破綻しては本末転倒です。

作者を投影させたキャラクターで有名な人がいます。コナン・ドイル作「シャーロック・ホームズシリーズ」のワトスンです。
ほとんどの話がワトスンの視点で書かれており、物語上では彼がホームズシリーズを書いた事になっています。
読者と同レベルの知識を持つワトスンを語り手に導入したことで様々な利点があります。
ワトスンの目を通してみせる事で、手がかりを明示させなくて済むという点や、シャーロック・ホームズの良さが客観的に見える事です。
世界中に熱狂的なファンがいるのもこれが一つの要因になっているのかもしれません。
もしも、コナン・ドイルが自分をかっこよく見せようとして、ワトスンが主人公のホームズ以上に活躍したら「シャーロック・ホームズシリーズ」は面白くなりますか?
主人公の探偵以上に出しゃばり活躍する助手の小説など、誰も読みたいと思わないでしょう。

メアリー・スーという言葉をご存知でしょうか。主に二次創作作品で使われるものですが、自己愛的な作者の願望が盛り込まれたキャラクターの総称です。
元々の自分の思い描いたストーリーから脱線する原因の一つに、メアリー・スーのようなキャラクターが自分の創作の上に存在しはじめることがあります。
自分の分身なのだからもっとよく見せたいという気持ちから、元々考えていた設定を脱線させるとそれは「自分の作品の二次創作」になってしまいます。
結末を目指すと前項で説明したようにまずは終わりまで書く事が大事です。未完の小説は誰にも読まれません。